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美しい本の世界<青年> [本のこと]

最近あまり本を読む時間がないので、美しい本を愛でています。
今回は、橋口五葉様が装幀を手掛けたこちらの作品。

森鷗外「青年」。

五葉様は漱石先生の「吾輩は猫である」で装幀家としてデビューし、
以後他の作家の作品も手掛け、その数は生涯で100点以上にも上ります。
この作品もその一つ。

表紙に蝶をあしらったデザインは「胡蝶本」と呼ばれ、人気を博して
いたそうです。
「胡蝶本」は鷗外先生以外にも、泉鏡花や永井荷風など様々な作家の
作品に使用されました。

まずは函。
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表紙、背、背表紙。
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「胡蝶本」と言われるだけあって、背には美しい蝶が描かれています。
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表紙、背表紙にも蝶が舞っていて素敵。よく見るとトンボもいます。
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扉には鳥が描かれています。
ougai_5.jpg

表題。森林太郎は、鷗外先生の本名。
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奥付。
ougai_7.jpg

漱石作品も素敵でしたが、今回のデザインも素晴らしい。
五葉様は、作家や内容によってデザインの雰囲気を変えていたのだそう。
確かに、漱石先生の装幀でも作品ごとに雰囲気を変えていたり、一冊の
本の中でも表紙、見返し、扉に様々なデザインを施す気合の入れようでした。
まだ装幀家という職業がなかった当時では、相当斬新だったでしょうね。

39歳という若さでこの世を去ってしまった五葉様ですが、画人として歩んだ
生涯のうち、その大半を装幀の仕事に携わったそうです。
本は内容だけでなく、デザインも楽しむことができるということを私に
教えてくれた五葉様。

書店に並んでいる文庫本では、彼の功績を目にすることができないのが
とても残念ですが、この場で少しでも誰かの目に留まることになれば
嬉しく思います。

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