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二百十日 [夏目漱石]

カレンダーを見ると、本日9月10日は「二百二十日(にひゃくはつか)」。

二百十日は聞いたことがあるのですが、はて二百二十日とは?
調べたところ、「八朔」「二百十日」「二百二十日」は、古来より暴風雨が
やってきて、稲作に被害を与える要注意の日とされ、「三厄日」と呼ばれるそう。

ちなみに今年は八朔が9月7日、二百十日は8月31日、二百二十日は9月10日と
なっています。

二百十日と聞いて思い出すのが、漱石先生の小説「二百十日」。

明治39年10月の「中央公論」に掲載され、「草枕」と「虞美人草」の間に
書かれた作品。
阿蘇を旅する圭さんと碌(ろく)さんの物語で、全編ほとんどが会話で
構成されています。

豆腐屋に生まれて苦労して学業に励んできた圭さんは、金力や権力をもって
貧しい者を圧迫する金持ちや華族に憤りを感じています。
金持ちや華族を阿蘇の噴火口に落としてやろうという意気込みを抱き、嫌がる
碌さんを誘って、阿蘇に登ることに。
しかし、折から二百十日の風雨で、なかなか噴火口に辿り着けず、とうとう
碌さんは途中で足に豆をつくり、圭さんは穴に転落してしまいます。
そんな二人の頭上で、容赦なく轟々と鳴る阿蘇山。

阿蘇山のエネルギーが、圭さんの金持ちや華族に対する憤りを表す象徴に
なっているところが、とても印象的。
二人の会話に時々入りこむ、阿蘇の噴火=自然の描写がとても力強く、
物語を引き立たせています。

そこには、権力や明治の急速な近代化に憤りを感じていた漱石先生の感情が、
投影されている様に思えます。
そして、漱石先生の時代から時を経た現在も、世の中では二百十日のような
暴風雨が吹き荒れていますね…。



収録作品の「野分」についての記事はコチラ。
https://tsukimisou-rock.blog.ss-blog.jp/2021-04-10

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