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夏目漱石先生との出会い [夏目漱石]

夏目漱石といえば、学生時代に一度は教科書で作品に触れたという人が多いと思う。
私もそうです。

教科書では「坊ちゃん」だった気がする。
読書感想文では「こころ」だった。

「坊ちゃん」はともかく、「こころ」は読んでても当時はちっとも面白くなく、
内容もさっぱりわからずで。
結局ほとんど読まないまま、後ろに載ってる解説を抜粋して感想文を書いたっけ。

その後、大人になって再会した時が「草枕」。
新聞の書評欄に掲載されていた。
「草枕」といえば、有名な出だしがある。

智に働けば角が立つ。
情に掉させば流される。
意地を通せば窮屈だ。
兎角に人の世は住みにくい。

このぐらいは私も知っていたが、その先を知らない。
つまり読んだことがなかった。
学生時代のトラウマじゃないけど、漱石作品は難しいという印象があったので、
手を出しにくかったのだ。

ところが、自分の中で「読んでみようかな」という気持ちがなぜか沸き起こり、
図書館で借りてみた。
最初は訳が分からなかった。
言葉がいちいち難しくて、解釈しようとするとなかなか先へ進めない。
おまけに風景や心情が何ページにもわたって記述されているので、
最初は「話が全然進まないじゃん!」と思った。
けれど、よく読んでみると表現がとても美しいことに気づく。

たとえば…

雲の層が、持ち切れぬ雨の糸を、しめやかに落しだして、
女の影を、䔥々と封じ了る。

とか。

秋の霧は冷やかに、たなびく靄は長閑に、夕餉炊く、
人の烟は青く立って、大きなる空に、わが果敢なき姿を託す。

とか。

この素敵な表現たちに、すっかり魅了されてしまったのだ。
これぞ日本文学!と思った。

他の作品も読みたくなり、家探しして高校生の頃に読んで挫折した「こころ」を
発見し、むさぼるように読みました。
めっちゃ面白いんですけど!って思った。
特に「先生と遺書」の章では、早く先が読みたくてたまらず、ガンガン読み
進めていった。
やはり、クライマックスに向かうまでの、構成が絶妙なのだ。
つい物語に引き込まれてしまう。

漱石先生が表現する心理描写は、繊細でさすがだ。
人間が誰しも持ち合わせている狡さ、そしてその狡さが招く不幸な結末が、
巧みに描かれている。
読んでいて、なんだかせつないというか、どうしようもない気持ちにさせられた。

ここから漱石先生にはまり、小説は全部読破。
随筆や日記、書簡集などもひと通り読んだ。
新宿区にある漱石山房記念館も時々訪れるし、お墓参りもする。
都内だけじゃなく熊本でも聖地巡礼してきました。
その模様などもブログに載せていきたい。

また、漱石先生の本は装丁も美しいので、その辺の話も。

こちらが学生時代に購入した「こころ」
年季入ってますが、わたせせいぞうさんのカバー絵が素敵!
とっておいてよかった。
soseki_1.jpg

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