SSブログ

巴水の雪景色 [美術]

雪が降りました。

思ったより積もらなかったので、こんな風景は見れませんでした。

hasui_1.jpg

川瀬巴水の「芝増上寺」という作品。

関東大震災後の東京の風景を描いた「東京二十景」の一枚で、生家にほど近い芝増上寺を描いた、巴水最大のヒット作。
赤い門前と白い雪のコントラスト、そして傘をすぼめた女性がなんとも印象的な一枚です。

大正から昭和にかけて描かれた浮世絵の進化系を新版画といい、その分野で活躍したのが川瀬巴水。昭和の広重とも呼ばれたそうです。

新版画はそれまでの浮世絵に比べて、摺りの回数を大幅に上回る多色刷りが特徴的。それによって、より奥行きのある作品に仕上がるのです。

何気ない旅の風景と人々の暮らしを描くことを得意とした巴水。
あのスティーブ・ジョブズも巴水の作品に魅了されたとか。

こちらは「雪の金閣寺」。
hasui_3.jpg

一目見ただけでは、金閣寺ということがわかりませんでした。
金閣寺というと、どうしても金色に輝いてる姿しか思い浮かばないものですから。ちなみに金閣寺の正式名称は「鹿苑寺」というのですね。

この作品には鏡湖池に張り出す少亭「漱清」も描かれています。
ベロ藍だけで摺られているのに、平坦にならず迫力のある描写になっているところが素晴らしい。

最後はこちら。
hasui_2.jpg

巴水の絶筆となった「平泉金色堂」。
病との闘いの中で何度か書き直されたそうです。

金色堂へと向かう一人の僧侶。
階段を上がり、ここまで来たかと右手で笠を掲げようとする姿に、巴水がその生涯を重ねたともいわれています。

巴水が描いた最後の作品は、静けさを感じる雪景色でした。

nice!(9)  コメント(0) 
共通テーマ:アート

nice! 9

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。