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夏休みに読みたい本<坊っちゃん> [夏目漱石]

教科書に載っていて、タイトルぐらいは誰もが知っている。

夏目漱石「坊っちゃん」。


「吾輩は猫である」と同時期に発表され、とにかく文章のテンポがよい。
漱石先生がノリノリなのがうかがえます。
書き出しも印象的で、暗記している人もいるのではないでしょうか。

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。
小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間程腰を抜かした事がある。

二階から飛び降りて、よくぞご無事で!と思わず突っ込みたくなります(苦笑)。
東京から松山の中学校に赴任した主人公が、赴任先の学校で生徒や教師相手に真っ向からぶつかっていくというストーリー。
ページ数もそれほど多くないので、比較的読みやすい作品だと思います。
私的な読みどころは以下の通り。

その①
全てにおいて「おれ流」を貫き通す主人公。
江戸っ子のべらんめえ調で、白黒はっきりしている性格。
このべらんめえ調で物語が語られていくので、スカッとします。

その②
やたらとあだ名をつけたがる主人公。
ひそかに同僚教師のあだ名をつけている。

・校長先生→狸(色黒で眼が大きくて狸に似ているから)

・教頭先生→赤シャツ(いつも赤シャツを着ているから)
      教頭が赤シャツ着てるってのも突っ込みどころですが(苦笑)

・英語教師→うらなり君(顔が蒼くふくれているから、うらなりの唐茄子っぽい)

・数学教師→山嵐(いがぐり頭で悪っぽいから)

・画学教師→野だいこ(野田という名字だから?)

こうやって見ると、そのまんまな感じで、あんまり捻りはないですね(笑)。

その③
同僚の山嵐との友情、そして悪者との戦い。
教師と生徒が心を通わせるお話かと思いきや、実は先生同士の戦いがメイン(生徒との戦いも少しあるけど)。坊っちゃん&山嵐 VS 赤シャツ&野だいこ。
最後はスッキリするような、でも現実ってこんなものなのねっていうほろ苦さもちょっぴり感じるような。

その④
じんわり温かい気持ちになる場面もあり。
母親を早くに亡くし、父親や兄にうざがられていた主人公だが、「坊っちゃんのすることはなんでも正しい」とひたすら愛情を注いでくれたのが、ばあやの清。
いつもはべらんめえの主人公ですが、清に対して見せる優しさは何とも言えず温かい気持ちにさせてくれる。

その⑤
女っ気ゼロです(笑)
坊っちゃんと女性のからみといえば、清と下宿先のお婆ちゃんぐらい。
あくまでも、硬派なのです(笑)

それにしても、漱石先生の文章って面白いなあとしみじみ思いました。
赤シャツの「ホホホホ」という笑い方にしても、そりゃ坊っちゃんがイラっとするよなって(笑)。
そして、学生時代に読んだ時は、坊っちゃんが悪者をやっつけたというだけの印象でしたが、大人になって読み返してみると、随所にほろ苦さを感じます。
そこに漱石先生が自身の思いを反映しているような気がしてなりません。
けれど、自身の正義を貫き通す主人公の姿は、やはりカッコイイのです。

タグ:坊っちゃん
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