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漱石先生と神楽坂 [夏目漱石]

先日久しぶりに神楽坂を訪れました。

友達が予約してくれた美味しいイタリアンを堪能したり、大好きな
かもめブックスさんで本を物色したりと、神楽坂のそぞろ歩きを
満喫しました。

神楽坂と言えば、思い浮かぶのが漱石先生のこと。
先生ゆかりの地でもあるので、以前散策したことがあるのです。
その時の写真と共に、少しご紹介させていただきます。

まずは神楽坂のメインストリート「神楽坂通り」沿いにある善国寺。
御本尊である毘沙門天が有名で、漱石先生が下駄を買いに行き、途中
胃痛で毘沙門境内に腰かけて休んだというエピソードが残っています。
また、縁日の様子が「それから」や「坊っちゃん」に登場します。

神楽坂の毘沙門の縁日で八寸ばかりの鯉を針で引っかけて、しめた
思ったら、ぽちゃりとおとしてしまったがこれは考えても惜しいと
云ったら、赤シャツは顋を前の方へ突き出してホホホホと笑った。
(「坊っちゃん」より)

kagurazaka1.jpg

そこから少し歩いた所にあるのが、江戸時代創業の文具店「相馬屋」。
漱石先生をはじめ、北原白秋、石川啄木、坪内逍遥など名だたる文豪が
ここの原稿用紙を愛用したそう。
なかでも漱石先生はオリジナルの原稿用紙をつくらせたそうです。
橋口五葉様がデザインした「漱石山房」の名入りの原稿用紙ですね。
それと同じものは販売されていませんが、現在も相馬屋製の原稿用紙を
購入する事はできます。

詳細は相馬屋さんのサイトをどうぞ。
http://www.soumaya.co.jp/

ちなみに、先生が使用していた原稿用紙をもとに作られたメモ帳が
漱石山房記念館で販売されています。
https://soseki-museum.jp/user-guide/museum-shop/

私も購入しました(笑)。
soseki_26.jpg

さて、次は「相馬屋」付近にある地蔵坂で俗称「藁店(わらだな)」。
昔、藁を売る店があったことからそう呼ばれたそう。
kagurazaka7.jpg

この坂には、かつて漱石先生が通った寄席「和良店亭」がありました。
また小説「それから」では、坂の上の袋町に住む主人公、代助のもとに
雨に濡れながら三千代が訪ねてくる場面があります。

御息み中だったので、また通りまで行って買物を済まして帰り掛けに
寄る事にした。ところが天気模様が悪くなって、藁店を上がり掛けると
ぽつぽつ降り出した。傘を持って来なかったので、濡れまいと思って、
つい急ぎ過ぎたものだから、すぐ身体に障って、息が苦しくなって困った
(「それから」より)

実際に坂を上ってみると、結構しんどいです。
病弱な三千代さんが、この坂を上って代助のもとを訪れるのはよほどの
ことだなと感じました。
物語の世界を体感することで、登場人物の気持ちを感じることができる
なんて面白いですね。

kagurazaka3.jpg

袋町から箪笥町を通り、牛込中央通りを歩くと矢来町に辿り着きます。
漱石先生の妻である鏡子さんの実家は、ちょうど新潮社の建物のあたりに
あったそうです。

kagurazaka4.jpg

そこから少し歩くと「かもめブックス」に到着。
新潮社に「かもめブックス」。
漱石先生って、やはり本にご縁があるんだなあ。

神楽坂の町を歩いていても、当時の面影はまったくないのですが、そこに
漂う空気を感じながら作品の世界に触れるのも、一つの楽しみ方だと思います。

話は変わりますが、アグネスホテルって閉店していたのですね。
ここのフレンチがよかったので、また行きたいと思っていたのですが。
残念です…。

変わりゆく町。
けれど、作品や自分の記憶にはいつまでも残ります。





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