SSブログ

ここにないもの [本のこと]

野矢茂樹さんの「ここにないもの 新哲学対話」を読んだ。

哲学だなんて、聞いただけでも難しそう。
ずっとそう思っていた。
なのに、なぜかこの本を手に取った。

それは、小難しいことがつらつらと綴られているのではなく、
エプシロンとミューという、まるでムーミン谷にでも住んでそうな
登場人物がお喋りしている様子が、とても親しみやすかったから。

植田真さんによる挿絵もかわいい。

二人が話す内容は、例えば…。

「人生って無意味なの?」

「死ぬのって、なんでこわいんだろう?」

などという、自分も子供の頃から漠然と抱いていた疑問だったりする。
この本を読めば、その答えがでるのか?と思い、読み進めていった。

「死ぬのって、なんでこわいの?」というミューに対して、
「死んでしまえばそれまでだから、あまりそう思わない」と答えた
エプシロンだが、ミューの疑問に対して改めて考えてみる。

例えばミューが死んでも、ミューに関することがなくなるわけじゃない。
ミューがいたという現実の事実は、そのまま残る。
では、死ぬとなにがなくなってしまうのか?

それは未来の可能性だ。
死ぬというのは、これから何が起こるか分からない、その分からなさを
奪い取ってしまう、そういうことなのかもしれない。
つまり、死ぬのがこわいというのは、未来の可能性をどれだけ大事に
考えているかということによる。
未来が見えた気になって、そんなもんかって思ってれば思ってるほど
死のこわさから遠ざかってるんじゃないか?

このエプシロンの結論に、私は少し気が楽になった。
未来は誰にもわからない。
わからないからこそ、どうにかなるさって考えるのもありなのだ。

ハードルの高い「哲学」だけど、本書を読んでほんの少し身近に感じる
ことができた。
噛めば噛むほど、じゃないけど読めば読むほど理解が深まるのかも。



nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
お気に入りのドラマ春を感じた日 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。