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ジギタリス [本のこと]

子供の頃、私はものすごく寝つきが悪くて、布団に入ってもなかなか
眠ることができませんでした。

そんな眠れない夜、目を凝らすと暗闇の中に小さな小さな光の粒が
たくさん飛んでいるのが見えて、それは赤や青や黄色など、様々な
色をしていました。
しかも、その光の粒は止まっているわけではなく、右から左、左から
右へと、まるで流れ星のようにザーッと動いていくのです。

私は布団から起き上がり、その光の粒に触れてみたくて、つい手を
伸ばすのですが、残念ながら触ることはできませんでした。

大人になるにつれ、いつの間にかそんなことをしなくても眠れる様に
なりましたが、今でも目をつむった時に光の粒を見ることはできます。

そういえば、今までこの話を誰にもしたことがないんですよね。
どうやって説明すればいいのか分からなかったし、見える人はいない
だろうと思っていたので。

だから、大島弓子先生の「ジギタリス」を読んだ時には驚きました。

主人公の男子学生が、同じ学校の同級生に自分と同姓同名の男子が
いることを知り、相手の存在に振り回される様子を描く作品。
作中で彼の同級生の兄が、目をつむったら見える星雲の話をするのです。

眠れない時、無理に目をとじていると、どこからともなくわいて出て
消滅する不定形の発行体です

子供の頃ぼくはそれをよく観察しました
すると、ある一定の流れと形をもつものがあるとわかったんです

ぼくはその一番でかい一番明るい星雲を"ジギタリス"と命名したんです

まさに、私が子供の頃に見ていた光の星雲のことです…!
しかも「ジギタリス」という名前をつけたなんて。
植物のジギタリスには、確かに小さな点々がついているけれど、
星雲と全然結びつかない(苦笑)。
さすが大島弓子先生。

そういえば、以前朝日新聞のコラムで伊藤理佐さんもこの話に触れて
いました。
眠れない時に光の星雲が見える人って、結構いるのでしょうか。

話を「ジギタリス」に戻します。
作中で主人公は、同姓同名の同級生の存在について、もしや自分が
作り出した幻影なのでは?と思うことがあります。

同姓同名の同級生と光の星雲「ジギタリス」。
どちらも自分にしか見えないものなのでしょうか。

大島弓子先生の「ジギタリス」は「ロングロングケーキ」に収録。



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