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最近読んだ本(山本文緒、辻村深月、村田沙耶香) [本のこと]

最近読んだ本。

①自転しながら公転する(山本文緒)
②琥珀の夏(辻村深月)
③しろいろの街の、その骨の体温の(村田沙耶香)

こうして見ると、女性作家の作品ばかり。
明治・大正の文学やロシア文学がマイブームだった時期もあったのですが、
今の自分は現代の女性作家の作品な気分、なんだなあ。

①「自転しながら公転する」
昨年お亡くなりになった山本文緒さんの作品で、タイトルが面白いなと
思って手に取りました。

32歳の女性が主人公で、結婚、仕事、親の介護にグルグルと思い悩み、
幸せを求めて生きていく物語。
そんな彼女の姿を見た交際相手が言った「まるで自転しながら公転してる
みたいだな」という台詞で、タイトルの意味を理解しました。

山本文緒さんの作品は初めて読みましたが、ご自分の体験を語っている
のかと思うほどのリアリティ。
そして、自分の身近にもあるような話だなと親近感を覚えたのでした。
私たち人間も地球と同じく自転しながら公転してるんですね。



②「琥珀の夏」
かつてカルト集団として世間から批判された施設「ミライの学校」の
敷地から、子供の白骨死体が見つかるという衝撃的な事件から始まる物語。
子供の頃に「ミライの学校」の夏合宿に参加した弁護士の法子は、
その時に共に過ごしたあの子の死体ではないかと、不安を覚える。
やがて事件を担当することになった法子は、施設について調べていく
うちに、子供の頃の記憶から取りこぼしているものがあることを知る。

親の都合で、親元を離されて施設で集団生活を送る子供たち。
世間から隔離された世界で、施設にいる大人から教育を受ける彼らは
ある意味純粋ですが、それはとても残酷なことでもあります。
法子のように夏の合宿だけ参加する者にとっては、ひと夏の思い出の
場所として記憶に残り、やがて忘れていきます。
けれど、そこで暮らす子供にとっては、ずっと続く日常であり、
離れることができない場所であるというギャップに辛さを覚えました。

読んでいて胸が痛くなりましたが、最後に一筋の光がさしたことが
せめてもの救いです。



③「しろいろの街の、その骨の体温の」
舞台は開発が進むニュータウン。
真新しく何もかもが白色の街をつまらないと感じる小学生の結佳は、
学校で嫌われないように、表面上は友達ともうまく付き合うように
していますが、心の中では馬鹿にしています。
そんな彼女のモヤモヤした気持ちを晴らす対象なのが、同じ書道教室に
通う同級生の男子、伊吹。
次第に伊吹をおもちゃにしたいという欲求が強まり、行動がエスカレート
していく結佳。

おもちゃにしたいって、どういうこと???
と思わず二度見してしまうほどのインパクト(苦笑)。
作品の中ではスクールカーストが描かれており、クラスの中で
生き抜いていくのって大変なんだなと思いました。
私自身は小学校や中学校で、ここまで大変な経験はしてないのですが、
クラスの中で目立つ子、目立たない子、その中間というのは確かに
ありましたね。
私は無難に中間、だったように思います。

大人になると、子供の頃の世界なんて小さいことに気づきますが、
当の子供にとっては、その世界が全てなんですよね。
そこで生きていくことに必死。
繊細で傷つきやすい子供たちが、もがきながら成長していく姿を
丁寧に描いた作品。



この記事を書いていて思ったのですが、3冊共もがき苦しむ子供や
大人の姿が描かれています。
ということは、人間というのはいくつになっても、その時々で壁に
ぶつかりながら進んでいくのでしょうね。

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