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美しい本の世界<羅生門> [本のこと]

芥川龍之介にとって初の短編集「羅生門」。
装幀は、師である夏目漱石の影響を受けています。

こちらの表紙がそう。
漱石先生の「漾虚集」に倣って、表紙に藍布を用いているのです。
rashoumon_2.jpg

ちなみに先日ご紹介した「漾虚集」はこちら。似てますね。
soseki_13.jpg

背表紙。
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こちらは本体をおさめる函。黄色が鮮やか。
rashoumon_1.jpg

扉。
rashoumon_4.jpg

扉の次に漢詩のような文字が書かれています。
rashoumon_5.jpg

そして、亡き師である漱石先生に捧げる言葉も。
rashoumon_6.jpg

奥付。
rashoumon_7.jpg

随所に漱石先生への想いが感じられて、胸がジーンとします。

この本にも収められている「鼻」という作品は、漱石先生が絶賛したそう。
先生は龍之介様にこのような言葉をかけました。

あゝいふものを是から二三十並べて御覧なさい。
文壇で類のない作家になれます。

当時まだ新進作家として歩き始めたばかりの龍之介様にとって、この言葉は
どんなにか勇気づけられたに違いない。
現に漱石先生の弟子たちの中でも、作家として一番名を残したのでした。

ところで、「羅生門」のラストの一文について。
この復刻版では、

下人は、既に、雨を冒して京都の町へ強盗を働きに急いでゐた。

となっているのですが、現在の文庫本などでは、

下人の行方は、誰も知らない。

となっています。
復刻版は、大正6年5月刊行の短編集「羅生門」の復刻で、その後大正7年に
刊行された短編集「鼻」に「羅生門」が収められた時に変更されたのだとか。

変更後の方が余韻を残していて、読者の想像をかきたてる気がします。

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