薬指の標本 [本のこと]
立て続けに小川洋子作品を読んだ。
「薬指の標本」という短編。
まず、タイトルが少々ミステリアス。
というか、怖くないですか?
薬指を標本にするとは、一体どういうことだろう?って。
サイダー工場で働いていた主人公の少女は、機械に指を挟まれて薬指の先の
肉片が少し欠けてしまう。
工場を辞めた彼女は、あてもなく街を歩いていると、古びた建物に辿り着き
柱に貼ってあった標本室の求人を見つけて、事務員として働くことになる。
標本室とは、人々が思い出の品々を持込むと、標本にして保存してくれる
場所なのだった。
人々が持ち込む物は、キノコや愛鳥の骨、楽譜、そして火傷の傷跡など様々。
標本技術士がそれを標本にし、大切に保管していく。
ある日、主人公は標本技術士に靴をプレゼントされる。
「これからは、毎日この靴をはいてほしい。ずっとだ。いいね。」と彼。
その靴は、あまりにも彼女の足にぴったりすぎて、履くたびにだんだん靴が
足を侵食していくかの様になっていく。
欠けた薬指や侵食されていく足など、自分自身が消滅していく様は、昨日
記事にUPした「密やかな結晶」によく似ている。
また、標本室で働き始めたばかりの主人公の言葉が印象深い。
ここには、命令も強制も規制もスローガンも当番も朝礼もない。
わたしは自由に標本を取り扱い、保管することができる。
自由という言葉を口にしているが、彼女は次第に自由を奪われていく。
そして、どんどん不自由さを受入れ、不自由であることを望んでいく。
怖いです。
客観的に見るとおかしいことも、渦中にいると自分をコントロールできなく
なって、自分自身を失っていくところがものすごく怖い!
標本となって消えていくのは物なのか、それとも自分自身なのか。
この作品も「密やかな結晶」と同様、今読むのにふさわしいのかもしれない。
他にもう一遍収録されている作品「六角形の小部屋」も消滅に関連している
と言えなくもない、不思議な物語でした。
「薬指の標本」という短編。
まず、タイトルが少々ミステリアス。
というか、怖くないですか?
薬指を標本にするとは、一体どういうことだろう?って。
サイダー工場で働いていた主人公の少女は、機械に指を挟まれて薬指の先の
肉片が少し欠けてしまう。
工場を辞めた彼女は、あてもなく街を歩いていると、古びた建物に辿り着き
柱に貼ってあった標本室の求人を見つけて、事務員として働くことになる。
標本室とは、人々が思い出の品々を持込むと、標本にして保存してくれる
場所なのだった。
人々が持ち込む物は、キノコや愛鳥の骨、楽譜、そして火傷の傷跡など様々。
標本技術士がそれを標本にし、大切に保管していく。
ある日、主人公は標本技術士に靴をプレゼントされる。
「これからは、毎日この靴をはいてほしい。ずっとだ。いいね。」と彼。
その靴は、あまりにも彼女の足にぴったりすぎて、履くたびにだんだん靴が
足を侵食していくかの様になっていく。
欠けた薬指や侵食されていく足など、自分自身が消滅していく様は、昨日
記事にUPした「密やかな結晶」によく似ている。
また、標本室で働き始めたばかりの主人公の言葉が印象深い。
ここには、命令も強制も規制もスローガンも当番も朝礼もない。
わたしは自由に標本を取り扱い、保管することができる。
自由という言葉を口にしているが、彼女は次第に自由を奪われていく。
そして、どんどん不自由さを受入れ、不自由であることを望んでいく。
怖いです。
客観的に見るとおかしいことも、渦中にいると自分をコントロールできなく
なって、自分自身を失っていくところがものすごく怖い!
標本となって消えていくのは物なのか、それとも自分自身なのか。
この作品も「密やかな結晶」と同様、今読むのにふさわしいのかもしれない。
他にもう一遍収録されている作品「六角形の小部屋」も消滅に関連している
と言えなくもない、不思議な物語でした。
タグ:小川洋子
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